Android の root 化とは
root 化とは、大半の Android スマホに設けられているシステム的な制限を解除するような行為を言う
Linux の知識があるなら、通常は一般ユーザ権限でしか利用できないスマホで、root 権限が使えるようになる ─と言ったらいいだろうか
root 化すると何ができる?
- カスタムROMを利用できる
- 制限された機能をアンロックできる
- コアな設定を変更できる (端末情報を偽装して新聞アプリを無料購読など)
- アプリの設定を書き換えできる (LINEの年齢認証解除、ゲームのスコア変更など)
- 非公式アプリ、モジュールを自由にインストールできる (バックグラウンド再生可能なYouTube、WiFiパスワードを閲覧するアプリなど)
- 銀行アプリやポケモンGOのような root 禁止アプリに関しては、root 状態を隠蔽することで問題なく起動可能になるし、SafetyNet も難なくパスできる
- ブラウザやアプリ内の広告を非表示にできる
- 端末が起動しないときや深刻なトラブルに陥ったとき、自力で復旧作業ができる
- パーティションやユーザデータ、アプリの完全なバックアップを作成/リカバリできる (Titanium Backup, TWRP など)
- カメラとスクリーンショットのシャッター音を無音にできる
root 化したらインストールしたいアプリ・ツール
- Magisk Manager
root 化するための必須アプリ。特定のアプリに対して root 化していることを隠蔽する機能もある。
- AdAway
ブラウザやアプリ内の広告を除去するアプリ。root 化の恩恵を最も実感しやすいアプリのひとつ。
- Packet Capture
特定のアプリに対して通信内容を傍受するアプリ。ゲームのチートプレイやアプリの解析に興味がなければまったく必要ない。
- Titanium Backup
各アプリの完全なバックアップをとったり、そのバックアップを復元してくれるアプリ。もしものときのために、是非入れておきたいほぼ必須なアプリ。
- XDA Labs
様々な野良アプリをインストールするためのアプリ。Google Play ストアにはないアプリが数多く公開されていて、ここで紹介している AdAway や YouTube Vanced などもこのアプリからインストールできる。これも必須アプリのひとつ。
- MyAndroidTools Pro
無駄にリソースを食っているアプリの不要なサービスを停止したり、特定のアプリの設定を直接書き換えることができるアプリ。LINE の年齢認証を解除したり、しょぼいゲームのスコアを改変することもできる。
- YouTube Vanced
改造版の YouTube アプリ。動画をバックグラウンド再生したり、自動でリピート再生したり、広告を完全に除去したり、普通の YouTube アプリには搭載されていない便利な機能や設定が豊富に搭載されている。YouTube をよく見るなら必須のアプリ。
- Solid Explorer
高機能なファイルエクスプローラ。root 化した端末なら、たとえばカメラのシャッター音の音声ファイルを消すなど、通常ではアクセスすらできないシステムファイルを書き換えることも可能。
- Xposed
様々な野良パッチを利用できるフレームワーク。専用リポジトリが用意されていて、フレームワークさえ導入できれば、位置情報の偽装や Wi-Fiパスワードの閲覧、アプリ内の広告枠の完全除去など、通常のアプリではあり得ないような凶悪な機能を導入することができるようになる。
root 化に適した端末
基本的に、root 化する方法やツールは外人のオタクが考えたり作ったりするので、外国では販売されていない日本メーカー製のスマホやキャリア依存のスマホの場合はそもそも情報がなく root 化できないことがある。
最低条件として、外国でも販売されている SIM フリー端末が比較的 root 化しやすいだろう。
例えば Sony Xperia の同じモデルの端末でも、海外仕様のグローバル版と日本で販売されているものでは、仕様が多少異なるので、root 化したいのならグローバル版を買うことだ。
加えて、最適なのが Nexus や Pixel シリーズのような Google 謹製のスマホである。これらは、過去から最新までの純正ファクトリーイメージを Google がウェブ上で無料で公開しており、いつでも自分で好きなバージョンの OS を端末に導入することができる。また、他のメーカー製スマホのように root 化するにあたって変な独自のプロテクトもかかっていないので、強引にクラックまがいなことをして root 化する必要なく、設定から OEM ロック解除許可 → ブートローダから OEM ロック解除 → TWRP リカバリ起動 → Magisk インストール …という至極シンプルな最低限の作業だけで root 化ができる。新しい バージョンの OS はGoogle が最優先で即リリースしてくれてすぐ試せるし、他のメーカー製スマホのように新 OS リリースの度に外人オタクの作る新しいクラックパッチを気長に待つ必要もない。何かトラブルがあっても、最悪の場合でも Google のファクトリーイメージをダウンロードして適用すれば、まっさらな Android にいつでもリセットすることができて、他のメーカー製スマホのように root 化に失敗して文鎮化するリスクもかなり低い。
アイフォン?それどんなアプリ?
リスクはある
- root 化の作業は素人にはそれほど簡単なことではない。とりあえずパソコンがいるし、最低でもパソコンをコマンドで操作したり英語をそこそこ読める必要がある。
- root 化の作業に失敗すると、端末内のデータが全部消えたり、最悪の場合、起動ループに陥ったり初期化すらできないスマホの形をした文鎮になる可能性がある。
- root 化は、失敗しても成功しても、一度でもやるとたいがいメーカーの保証外になってしまう。
root 化するデメリット
- システムの自動アップデート(OTA)は、root 化したままだとできないと思った方がいい。システムアップデートをしたければ、面倒でも手動で、root 化を解除して新しい OS を導入して再度 root 化する―といった作業を毎回する必要がある。(端末によってやり方は異なる) ただ、システムアップデートというのはそれほど頻繁にあるわけでもなく、メーカー製スマホなら1年に1回あれば良い方なので、それほど煩わしいものでもない。
root 化に適した人
前述(リスク)のとおり、root 化の作業にはそれなりの IT スキル、英語の読解力、自己解決能力、そして責任感が必要だ。過去に幾度も経験した私でも、慣れているつもりが、うっかりとほんの些細なミスをして窮地に陥ったことがよくあった。奇跡的に復旧できたこともあれば、データが全部消えてしまったり、完全に文鎮化したこともあった。
そういうリスクと root 化による恩恵をきちんと理解して天秤にかけたうえで、もし失敗しても復旧できるような対策をとれるような人間が望ましい。
若い女性なら、自称 IT に詳しいやや根暗な友達や彼氏か夫か父親にやってもらうといいだろう。ミスってもそいつが責任をとってくれる。ただし、友人や彼氏であっても、外人やストーカー気質な異性にだけは頼まない方がいい。高確率でスパイウェアを仕込まれて今後の私生活を24時間監視されることになる。root 化には何でもできるようになる反面、そういう側面もあるので注意が必要だ。また、前述(デメリット)のとおり root 化の作業はシステムのアップデートの度に必要になるので、他人にやってもらう場合は今後のことも考慮して人選をすべきである。